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第16回 Anesthesia Morning Café – Professor’s Wake-Up Bibble-Babble

第16回Anesthesia Morning Café Professor’s Bibble-Babbleは、下記の論文をご紹介します。

 

Timing of surgery following SARS-CoV-2 infection: an international prospective cohort study.

COVIDSurg Collaborative and GlobalSurg Collaborative.

Anaesthesia 2021; 76: 748-58

 

 周術期のSARS-CoV-2感染は術後死亡率や呼吸器合併症を確実に増加させます。ある調査では周術期にSARS-CoV-2感染があった患者では、30日後死亡率が16%(非感染コントロール群は4%)に昇ったと報告されています(Jonker PKC, et al. Surgery 2021; 169: 264-74)。また別の報告では、周術期感染患者の30日後死亡率は23.8%、呼吸器合併症は51.2%に生じており、とくに男性、70歳以上、ASA-PS3以上、悪性疾患、緊急手術で有意に発生することがわかっています(COVIDSurg Collaborative. Lancet 2020; 396: 27-38)。これまで出された様々なガイドラインによると、術前に感染した患者の場合、緊急性のない手術は延期することを推奨していますが、その期間は1‐12週と統一性がありませんでした。そこで最適なタイミングを設定するのが本研究の目的で、International multicenter prospective cohort studyとして、116の国々、1674病院で、2020年の10月に実施されています。Primary outcomeは30日後死亡率、secondary outcomeは30日後呼吸器合併症です。

 総数140,231名のエントリー中、計3127名のSARS-CoV-2患者を得ています。SARS-CoV-2と診断された時点から実際に実施された手術までの期間を、0-2週(1138名:36.4%)、3-4週(461名:14.7%)、5-6週(326名:10.4%)、7週以上(1202名:38.4%)として分析しています。

Important Point Here!!

 非感染対照患者の術後30日後死亡率は1.5%であったのに対し、術前SARS-CoV-2感染患者では、0-2週群で9.1%、3-4週群で6.9%、5-6週群で5.5%、7週以上群で2%という結果となっています。オッズ比でみると、0-2週群で4.1倍、3-4週群で3.9倍、5-6週群で3.6倍であり、7週以上経過すると1.5と死亡リスクは非感染者と同等になることがわかりました。術後呼吸器合併症についても同様で、非感染対照患者の2.7%に比し、術前SARS-CoV-2感染患者では、0-2週群で7.9%、3-4週群で8.8%、5-6週群で7.8%、7週以上群で2.8%でした。つまり基本的には、感染後7週間あけて手術に臨みましょうということになります。ただしたとえ7週経過していても、まだ有症状の場合には30日後死亡率は6%に増加するため、有症状の患者ではさらに延期が必要になります。

詳細は論文をご確認ください。