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第46回 Anesthesia Morning Café – Professor’s Wake-Up Bibble-Babble

本日は2024年度第63回麻酔科専門医試験問題で、肺胞気酸素分圧の計算問題を解いてみましょう!

【63A8】FIO2 0.5で人工呼吸管理されている。肺胞気酸素分圧(Torr)に近いのはどれか。1気圧、呼吸商0.8、PaCO2 40 Torrと仮定する。

A 150

B 200

C 250

D 300

E 350

 

肺胞気式を正確に覚えるのは厄介なので、簡易式を覚えておきましょう。

肺胞気酸素分圧=(大気圧-水蒸気圧)×酸素濃度-肺胞気二酸化炭素分圧/呼吸商

PAO2=(PB-PH2O)×FIO2-PACO2/R

この式の意味合いを覚えておけば、式を忘れても計算はできるはずです。

まずは大気下の自発呼吸中のことを想定してみましょう。大気には酸素(20.93%)、窒素(79.04%)、二酸化炭素(0.03%)が含まれ、それぞれの分圧が合算され大気圧760 Torrとなっています。この中で酸素分圧は大気圧×酸素濃度(分画)、つまり760×0.21≒160 Torrとなります。これが気道に入り、加湿され肺胞に到達しますので、気道内では760 Torr中に水蒸気圧も加わります。つまり吸気中の酸素分圧(PIO2)を計算するには、体温37℃での飽和水蒸気圧47 Torrを大気圧から引いてあげねばなりません。そうすると(大気圧-水蒸気圧)×酸素濃度、つまり(760-47)×0.21≒150 Torrとなります。しかしまだまだPIO2=PAO2でないことに注意が必要です。肺胞気には肺動脈からCO2が戻ってきて、その分、吸気中のO2が交換で血中に移行するので、このO2移行分を引いてあげねばなりません。呼吸商(R)はCO2呼出量/O2摂取量で計算され、通常0.8ですので、この酸素の血中への移行部分がPACO2/Rより計算されます。CO2が8個肺胞内に入り、代わりにO2が10個出ていくイメージです。CO2の血中肺胞間の拡散は容易なので、PACO2=PaCO2で動脈血ガス分析より計算が可能となります。正常肺なら、PaCO2/R=40/0.8=50 Torrとなります。式全体としては、大気中、正常肺、正常呼吸状態であれば、PAO2=150-50=100 Torrとなります。

問題のとおり、FIO2 0.5、PaCO2 40 Torrであれば、PACO2=(760-47)×0.5-40/0.8=306.5≒300 Torrとなります。

正解はDです。

それでは練習問題です。たとえば術後鼻カニューラで2L/分(FIO2 0.25)の酸素吸入下で、残存筋弛緩による上気道狭窄にてPaCO2 80 Torrになったと仮定しましょう。PAO2=(760-47)×0.25-80/0.8≒78 Torrと算出されます。O2に関してはAaDO2(正常10 Torr以下)からわかるように、PAO2=PaO2とはならず、個々の症例の拡散能やシャント、換気血流比不均衡などに影響を受けますので、この場合、おそらくは危険な低酸素状態となっているでしょう。すぐに気道確保と酸素濃度の増加、筋弛緩の拮抗が必要ですね。