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第52回 Anesthesia Morning Café – Professor’s Wake-Up Bibble-Babble

麻酔科専門医試験ではペインクリニックで用いる薬の知識も問われるので、非麻薬性および麻薬性鎮痛薬や鎮痛補助薬についても学ぶ必要があります。まずは発熱や腰痛など、ご自分でも服用することの多いNSAIDsに関する解説をしてみます。平成24年度のペインクリニック専門医試験問題からの抽出です。

 

NSAIDs の薬理学的特徴で正しいのを2つ選べ.

(1)COX-2は誘導型が一部に存在する.

(2)COX-2の阻害では肝機能障害が生じる.

(3)COX-2は大腸がんの発生にも関与している.

(4)COX-1の阻害でロイコトリエンの産生が抑制される.

(5)COX-1はトロンボキサンA2の産生に関与している.

 

組織損傷が生じると、下図のアラキドン酸カスケードが誘導され、ホスホリパーゼA2の酵素活性により細胞膜リン脂質からアラキドン酸が遊離されます。アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)の作用により、プロスタグランディン(PG)やトロンボキサン(TX)を合成します。PGE2は炎症を形成、維持し、痛みや血管透過性亢進(腫脹)をもたらします。ステロイドはホスホリパーゼA2を、NSAIDsはCOXを抑制することでこのカスケードを堰き止め、抗炎症作用を発揮します。

 

 

COXにはサブタイプがあり、全身の細胞に常在する構成型酵素であるCOX-1と、腎臓などには常在するものの、サイトカインの刺激によりマクロファージや好中球などの炎症細胞に一過性に発現する誘導型酵素であるCOX-2の2つが存在します。NSAIDsにはその両方に作用するジクロフェナクやロキソプロフェンを代表とする非選択的COX阻害薬と、セレコキシブ、エトドラク、メロキシカムが属する選択的COX-2阻害薬があります。COX-1は胃粘膜にも常在し、血流維持や粘液産生に寄与しています。そのため非選択的COX阻害薬を慢性投与することで、胃潰瘍や消化管出血発症のリスクが高まります。それに対し、選択的COX-2阻害薬は主に炎症部位に増加したCOX-2を抑制するため、非選択的COX阻害薬に比べ、上部消化管障害の頻度は少なくなります。NSAIDsはPGE2遊離抑制により腎血流を減少させる結果、水やNaの再吸収をきたし、血圧上昇をもたらします。腎臓にはCOX-2が常在しますので、この副作用は選択的COX-2阻害薬でも起こるので注意が必要です。さらにCOX-2阻害薬を使用する際に留意すべきこととして、心筋梗塞の発症に関与する可能性です。下の図にはCOX-2阻害薬が血圧上昇、動脈硬化や血栓形成をもたらす機序とされる、COX-2より産生されるプロスタサイクリン(PGI2)とCOX-1由来のTXA2の不均衡説を表しています。PGI2は血小板凝集阻止作用を有しており、TXA2は逆に凝集作用を有しており、そのバランスが取れている状態において、選択的COX-2阻害薬が投与されると、PGI2のみが抑制されることにより、相対的にTXA2の作用が強まり、血栓形成が促され、心筋梗塞を発症するという説です。よって動脈硬化の強い患者や狭心症や心筋梗塞、脳虚血リスクを有する患者では、投与を避けた方がよいでしょう。

 

 

COX-2の過剰発現ががんの進展に関連することが示唆されています。COX-2を介するPGE2の合成を抑制することで、がん細胞の増殖や血管新生を抑制し、アポトーシスを増加させることが報告されています。

COX-の阻害でリポキシゲナーゼ系は活性が高まるので、増加したロイコトリエンが問題となるのは、アスピリン喘息と呼ばれる病態ですね。

正解は(3)、(5)です。