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第4回 Anesthesia Morning Café – Professor’s Wake-Up Bibble-Babble

今朝は家内が作ってくれたシフォンケーキを持参しました。手前味噌ですが、結構おいしいですよ!医局員の皆さんにも喜んでもらえたと思います。

 

 

今回の Anesthesia Morning Cafe での紹介論文は、

Wang C, et al. Midazolam and dexmedetomidine affect neuroglioma and lung carcinoma cell biology in vtro and in vivo. Anesthesiology 2018; 129: 1000-14

です。

 

Important Point Here!

手術侵襲に加え、多くの麻酔薬が細胞性免疫を抑制する結果、がん患者の長期予後に影響が出ることが懸念され、臨床での予後の評価や基礎的機序の研究が多く報告されるようになっています。今回の論文は、ミダゾラムとデクスメデトミジンのin vitroでの腫瘍細胞の活性等に関する影響、およびマウスのin vivoでの腫瘍の増大に関する評価を行っています。用いたがん細胞はヒト肺がん細胞と神経グリオーマ細胞です。種々の濃度のデクスメデトミジン溶液およびミダゾラム溶液に両がん細胞を浸し、24時間処置後の細胞生存数を計測したところ、濃度依存性にデクスメデトミジンは細胞数を増加させ、ミダゾラムは細胞数を減少させました。Ki67という細胞増生に関わる因子の発現も、デクスメデトミジンで増加、ミダゾラムで減少しました。創傷治癒アッセイでがん細胞の遊走能を評価しましたが、やはりデクスメデトミジンで増大、ミダゾラムで減弱していました。がん細胞のアポトーシスを進行させるプロテアーゼであるカスパーゼ3および9の強度は、デクスメデトミジンでは変化しませんでしたが、ミダゾラムで増強されました。またがん細胞の活性酸素を測定すると、ミダゾラム処置細胞で増大していました。In vivo研究はマウス皮下にがん細胞を注入し、4日後より両麻酔薬を5日間投与することで、腫瘍径に影響が出るかを評価していますが、ミダゾラム投与マウスで腫瘍径の増大が抑制されました。ミダゾラムは抗がん細胞効果が、デクスメデトミジンはがん細胞の成長を促進する可能性が示唆されました。