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第11回Anesthesia Morning Cafe

朝軽食を食べながら、軽く頭を刺激する意味で始めたAnesthesia Morning Caféですが、コロナ禍でなかなか集合できず、会食もできないため開催できていないのは残念です。私からの情報提供だけ、このブログで再開してみようと思います。

 

今回の紹介論文は、

Intraoperative MgSO4 infusion protects oxygenation and lung mechanics in COPD patients during general anesthesia. A randomized clinical trial.

Ahmed A, Sayed AH, Elkholy J, et al.

Acta Anaesthesiol Scand 2020; 64: 1460-8

です。

COPD患者の全身麻酔中、酸素化および肺メカニクスをMgSO4が改善するという内容です。

 

対象は中等症のCOPD患者40名ですが、ステージ分類は皆さん覚えてますか?

一秒量が70%未満の患者で、

Ⅰ期(軽症) %一秒量80%以上

Ⅱ期(中等症)50%≦%一秒量<80%

Ⅲ期(重症) 30%≦%一秒量<50%

Ⅳ期(最重症)%一秒量30%未満

 

予測一秒量は男女で式が異なり(Berglundの式)、

男性 3.44×身長(m)-0.033×年齢-1

女性 2.67×身長(m)-0.027×年齢-0.54

 

麻酔はフェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムで導入し、イソフルラン、フェンタニル、ロクロニウムで維持しています。気管挿管後の人工呼吸は、一回換気量:6-8㎖/㎏、呼吸回数:ETCO2を35-40Torrに維持するよう10-12/分、I/E比:1:2.5、PEEP:4-6cmH2O、FiO2:0.5の設定です。人工呼吸開始から20分後に酸素化と肺メカニクスのコントロール値を取り、MgSO4投与群では、まず30㎎/㎏を20分かけて静脈内投与し、その後10㎎/㎏/時で持続投与します。コントロール群は盲検下に生食が投与されています。約3時間経過後に投薬中止し、酸素化と肺メカニクスを記録し、前値と比較しています。

 

結果として、

PaO2:コントロール群では前値と比較し有意に低下したのですが、MgSO4投与群では酸素化は維持されました。

Peak airway pressure:コントロール群では時間経過とともに有意に増加、MgSO4投与群では変化なし。

死腔:コントロール群では有意に増加、MgSO4投与群では変化なし。

動的コンプライアンス:コントロール群では有意に減少、MgSO4投与群では変化なし。

気道抵抗:コントロール群では有意に増加、MgSO4投与群では変化なし。

まとめると、MgSO4投与群では酸素化と肺メカニクスは維持されるという結果です。

さらに術後の酸素化もMgSO4投与群で良い結果となっており、P/F比はMgSO4群で388、コントロール群で280と有意差が出ています。

 

MgSO4はカルシウムに拮抗し、気管支平滑筋収縮を抑制し、気管支拡張をもたらします。また運動神経末端からのACh放出の抑制、肥満細胞からのヒスタミン放出の抑制、分泌細胞での粘液産生の抑制にも作用していると推定されます。COPD患者で酸素化や気道抵抗悪化が認められる場合には、試みてみるべき処置と思われますが、血漿Mg濃度が3.4㎎/dLと高値となっている点は注意しましょう。ロクロニウムの作用は確実に延長するでしょうし、投与量の加減が必要かもしれません。

ぜひ論文を実際に読んでみてください!