初期研修制度がない時代に麻酔科に入局することを決断した。大学6年生当時の人生の先輩や勤務医、開業医の諸先輩方の誰に相談しても将来働く診療科として麻酔科を選択することに対してポジティヴな意見を聞くことはなかった。しかし、今まで麻酔科医になったことを一度も後悔したことがない。「麻酔は不思議で楽しい!」と毎日思いながら仕事をしている。
予想したことと結果に乖離があることが不思議であり楽しいことである。予想といってもサイコロを転がして未来を占っているのではなく、多くのデータに基づくシミュレーションだったり、症例報告を元に想像したりするわけである。この不思議の原因を探求することがライフワークです。
麻酔科のワークフィールドは、非常に広く、手術や検査の麻酔、日帰り手術の麻酔、集中治療、ペインクリニック、緩和ケア、無痛分娩など多岐に渡る。麻酔だけを取り上げても手術室だけでなく、カテーテル検査室や前立腺小線源療法、子供の検査のための麻酔など病院中に需要がある。また、サブスペシャリティーとしても心臓麻酔、小児麻酔、産科麻酔、区域麻酔、脳神経外科の麻酔など専門領域は幾多に渡る。全てのフィールドを一人で網羅することはできないために、医局員がそれぞれ持つ知識や経験を重ね合わせることによって広大なフィールドをカバーしている。医局員が一人増える度にカバーできる範囲は少しずつ広くなる。病院内における麻酔科医の需要や重要性は大きくなるばかりであり、50年先を想像した場合にも麻酔科医の重要性は今以上に増えていると考えらえる。
大学の麻酔科医を選択する理由は何であろうか。一人ひとりの背景はいつでも変化する可能性があり、その状況の変化に対してお互いにフォローし合える多くの仲間ができることが最大の理由だと思う。医局には関連病院が多くあって色々なニーズに対応できるが、医局員が増えればそれだけ規模が大きくなり、さらに多様化に対応することができるようになる。自分の背景が変わっても働き続けたい、働いていて良かったと思える医局でありたいと思う。
一緒に未来を創る仲間になりませんか?